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「楽しむ!」(宮原宏和)

 

2023年度、中国リーグも残すところ残り3節。ここまでトップチームは、15戦全勝、リーグ優勝が決まった。しかしまだ満足するわけにはいかない、完全優勝するまでは。
 私自身はこの広島大学サッカー部に入ってから3年目になる。今期はトップチームでの出場機会にも恵まれ、大変充実した大学生活を送らせて頂いているが、ここに至るまでの過程が私のサッカー人生において挫折続きの日々だった。
 そこで、大学に入ってからの3年間を振り返って感じたことを思いのままに述べてみようと思う。
 まず、私は昨年までトップチームのベンチにこそ入っていたものの出場機会はほとんどなかった。少ない出場機会を全力で臨み、しかもポジションも未経験のセンターバック。
 今、振り返れば私の人生は大学受験こそ浪人を経験したが、どちらかと言えば順調だった。小中高いつもレギュラー。当たり前が当たり前で当然の人生だった。そう言うこともあり、早くトップチームレギュラーで活躍したい、早く高校サッカー部の監督や親にも自分の活躍を見せたい報告したいなど、様々な感情が込み上げてくる。自分に足りないものは何なのか、よく悩んだ。
 その時期の練習や試合では、他人の評価に敏感になって自分のプレーにも悪影響を与える日々になっていた。頭も体も硬くなって周りも見えなくなっていた。好きで続けてきたサッカーが楽しめなくなっていた。サッカーを辞めようと思った日もあったがここでやめたら後々後悔するだろうと思った。
 しかし、そんな苦心にもがきながら練習に励んでいた2年生のある日、自分と同じような境遇と戦ってきたある先輩からこんな言葉を言われた。
「自分を信じて今のままのプレーを続けていればいつかチャンスは訪れる。そのチャンスを自分で掴め!」と。この言葉を聞いた瞬間、凄く凄く救われた。              
「自分のサッカーを否定する必要はなかったんだ。こんな惨めな俺でも見てくれている人がいる。先輩みたいに自分のことだけでなく他人のことまで気を配って心配してくれる人がいるんだ」と。
自分のことだけで精一杯の自分が凄く情けなく、恥ずかしくもなった。
 そこから、今の自分にできることとで考えたことを3つ。
1つは、自分を信じてプレーをやり続ける事。
2つ目は、自分を見失わないこと。
3つ目は、トップチームで出たいとか考えず、慌てず、まずは身近な仲間とサッカーを楽しむこと。
以上と判断し、切り替えることにした。
 それからというもの、自分なりに精一杯日々の練習をチームメイトと肩を並べて過ごしていくうちに自然と笑みも増え、コミュニケーション【特にいじられることが多いですが(笑)】の機会も増え、チームメイトからの信頼も少しずつ得ることができるようになってきた気がした。
 何度もくどいが、今までの自分に特に足りなかったこと。それはシンプルにサッカーを仲間と共に「楽しむ」ということだ。「楽しむ」これはサッカーだけでなく、どんな社会活動においても言えることだと思う。経験が浅い人間は「楽しむ」という感情はついつい「俺が俺が」「上に上に」と忘れがちである。練習においても試合においても同じ時間を同じフィールドで同じボールを追って過ごす。そうとなれば仲間と共にサッカーを楽しんだもん勝ちではないか。また、何においても楽しむことを忘れたら成長はないと思う。チームでサッカーを楽しんで一体となること。その中で得られた成功に対する喜びが自分やチームメイトをもっともっと成長させてくれる。そういうことに気づけたのも悔しい気持ちを糧に必死にもがき、あがいた去年、ひょっと先輩から頂いた思いやりの言葉のおかげである。
 この大学サッカーを経験して自分はサッカーだけでなく人間としても成長させて頂いていると思う。未来のことはわからないが、これからの人生も大事なことに気づかず、もがき苦しむ時期が必ず訪れると思う。 
 命という字は「人は一度は叩かれる」書いて「命」である。
 とりあえず一度叩かれただけありがたい経験である。気持ちの切り替えも経験させて頂いた。自分にも心当たりのある部員の方やこのブログを読んで頂いている方、多少参考にして頂ければ叩かれずに済むと思いますので参考にして下さい。(笑)
 最後に、我々サッカー部がリーグ優勝を果たした今目指すべきなのは全国大会での勝利。一戦一戦「勝」を重ね、理想を言えばベスト4、優勝をめざしたいところ。しかし、サッカーには相手チームもあること。特に全国大会となればそう簡単には勝たせてくれないと思う。
 こう言う時こそ気負わず、冷静にチームの一員ということを意識し、サッカーを楽しみセンターバックの職務を全うしたい。まだまだ、一ヶ月以上の準備期間があるので、全力でやれることはすべてやりきる。広島大学サッカー部に関わっていただいている多くの方々、スポンサーのアイグラン様、監督、スタッフ、チームメイト、先輩方々への感謝の気持ちを忘れずに残りの試合を全力で臨んでいきます。 
 長く拙い文章でしたが読んでいただきありがとうございました。